大判例

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大阪高等裁判所 昭和53年(ネ)1956号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二ところで、控訴人は、本訴において被控訴人を相手方として本件土地所有権の確認を求めるものであるが、そもそも本訴確認を求める訴についてその利益があるかどうかが問題であるので、この点について検討する。

およそ確認の訴の利益は、原告の権利又は法律的地位に現存する不安を除去するため、原被告間で当該権利又は法律的地位の存否を判決によつて確認することが必要かつ適切である場合に認められるものであるところ、右当事者間に争いのない事実によると、分筆前の一番一の土地について神戸復興特別都市計画事業葺合土地区画整理施行地区整理施行者である神戸市長がすでに昭和二六年三月二八日特別都市計画法に基づいて神戸市葺合区吾妻工区三C街区一号地を換地予定地と指定する旨の処分をしていたので、その後に従前地である右一番一の土地から分筆された一番三八の土地所有権を昭和四九年五月二一日競落によつて取得した控訴人が右施行者に対し換地予定地の指定変更処分を求めたところ、神戸市の担当職員が一番三八の土地は本件土地ではなくその北の松下所有建物の敷地である旨主張して譲らないというのであつて、これによれば、神戸市の職員が控訴人の本件土地所有権を否認する言動を示したことになるとはいつても、それは、前記土地区画整理施行者である神戸市長(行政庁)の補助者としての職務執行の一環としてなされたものにほかならないのであり、普通地方公共団体としての被控訴人自身の立場において控訴人が本件土地について所有権を有することを争つているものでないことが明らかであり、そして他に被控訴人自身(代表者ないしはその補助者)が控訴人の右所有権を争つていることを認めるべき資料は全くないから、被控訴人を相手方とする控訴人の本件土地所有権の確認を求める本件訴は、すでにこの点で前記に説示した確認の利益を欠くものといわなければならない。

もつとも、被控訴人の代表者である神戸市長が同時に前記土地区画整理の施行者でもある関係で、仮に控訴人の本件土地所有権の存在が控訴人・被控訴人間で判決によつて確認されれば、右施行者である神戸市長としてもその結果を尊重すべき立場にあるということができるにしても、それは、あくまでも事実上の関係にすぎないのみならず、そもそも前示におけるような土地区画整理事業は、都市計画区域内の土地について健全で秩序ある市街地を造成するため、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図ることを目的として、施行地区内の土地から必要な公共用地を控除した残地の区画形質を整然としたうえ、原則として整理前(従前)の土地に存した権利関係に変動を加えることなく、従前の各土地の位置、地積、利用状況、環境等に照応するように、これを整理後の土地(換地)に移行せしめるものであり、したがつて、施行者としては、その区画整理事業を施行する(換地処分をする)必要上従前地の位置及び範囲等を確認するにすぎないのであつて、そこにはもともと施行者が私人である控訴人と同一の次元に立つて控訴人の権利を争うという関係は存在しないといえるし、また、控訴人としては、施行者が将来控訴人の所有であるとする一番三八の土地について(甲第三号証の登記簿騰本によると、一番三八の土地につき神戸地方法務局昭和四九年六月二〇日受付第一二五四三号をもつて控訴人に対する所有権移転登記が経由されている。)換地処分をした段階においても、もしその換地処分に不服があれば、最終的には施行者を被告として当該換地処分の取消等の行政訴訟を提起し、その訴訟において従前地である一番三八の土地が本件土地であることを主張して右の換地処分の適否につき裁判所の判断を求めることにより、現に控訴人の主張するような施行者との間での紛争解決を達しうるものというべきである。

そうすると、右の点からも控訴人・被控訴人間で控訴人が本件土地所有権を有することを判決によつて確認することが必要かつ適切な場合にあたるものとは認められないから、控訴人の本件訴は、いずれにしても確認の利益を欠く不適法な訴として、却下を免れない。

(唐松寛 藤原弘道 平手勇治)

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